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世界的な不況等の影響により必要な事業資金の調達に支障をきたしている中小企業に対して、政府は2008年10月31日から2010年3月31日までの期間を定めて緊急保証制度(略称・経営緊急、全国緊急)を実施した。
この制度はその後民主党政権になって追加経済対策の一環としてさらに期限を2011年3月31日まで延長、その枠も拡大された。
この制度が実施されるのを待ち受けて、日頃から金融制度や資金対策に強い関心を持ち、世界的な不況の中で突然急激な売上ダウンに見舞われた企業、あるいは原材料等のコスト高に襲われた企業は早速この制度を利用し始めた。
この制度の概要は図表15の通りである。
制度を利用するに当たって、まず利用者は中小企業信用保険法第2案第4項第5号に基づいて最寄りの市区町村長の認定を受け、その認定書を添付して信用保証協会に緊急信用保証の申込みをする。
新聞・TVなどマスメディア、あるいは取引金融機関から制度の概要を予め知らされていた中小企業は、認定書申込みに必要な書類を求めて制度実施の当日の早朝より市区町村の窓口を訪れている。
政府や地方公共団体などの不況対策のための制度融資を積極的に利用した中小企業は、早目に今回の不況に伴う緊急の資金対策を、時を移さず活用しているのだ。
金融危機対応の融資(図表16を参照)は、国全体で100万件、金額は22兆円の規模に達している。
中でも信用保証協会の緊急保証は、2009年9月24日現在で73万3653件、金額は14兆1890億を占めている。
その利用を都道府県別に見ると、中小企業者の多い東京都、大阪府、愛知県、福岡県の順になっている。
政府の不況対策として実施されたこの緊急保証制度は、当初は一定の業種に属する事業を行っている中小企業者がその主な対象であったが、保証制度の拡充を求める中小企業者の声を反映して2009年6月23日から26業種を追加指定し、業種の数は781業種(全体の86%)、企業数は626万社(全体の81%)、売上高は676兆円(全体の94%)と中小企業のほぼ全体をカバーできる体制にまで制度自体拡充していった。
制度を利用するに当たっては、すでに触れたように最寄りの市区町村役場に出かけ、認定を受けるための申請書類をまず求め、直近の決算書類等の資料とともに改めて申請することになるが、中小企業の中には、この申請書に伴う資料の作成に関して自ら作成できないところもある。
そうした中小企業に対しては、取引金融機関の融資担当者や顧問税理士等が手助けしている。
現に都内のある信用金庫はこの制度を勧めるに当たって融資担当者に進んで資料作成に協力するよう指示し、資料作りの苦手な中小企業者に代わって資料を作成して大いに喜ばれ感謝されたという。
政府主導の不況対策、日常の銀行取引等金融に関して全く関心がなく、また日頃ドンブリ勘定、メモによる貸金手当てを行っているような中小企業の中には、制度の存在すら知らないところもある。
この緊急保証制度を素早く知ってすぐ実行すれば当面の資金繰りを安定させ、経営を前向きに捉えることができたはずだ。
こうした面でも金融に関しての日頃からの情報収集は不可欠であり、またそのためのアドバイザー役の存在も大切であろう。
円高不況対策にはきちんとした計数計画を-「プレーンを見れば,経営者の人柄や企業の質がわかる」といわれているが,経営者を補佐する人材が少ない中小企業にとっては外部から経営をアドバイスしてくれるプレーンの存在が不可欠である。
中堅企業や大企業は組織が整備され、各ポストに専門的な知識や経験を持った人材を配置したり、外部の専門家である弁護士、公認会計士、税理士等を顧問としてその都度アドバイスを受け、実際に多くの実務上の問題点を処理したりしてもらっている。
その点、中小企業にはそうした人脈のネットワークを持っているところは少ない。
また、弁護士等の専門家と顧問契約を結ぶ金銭的なゆとりがあるところも少ない。
したがって外部のアドバイザーや同業者などの経営者仲間、そして友人などに頼ることになる。
しかし、こうした際こそ日頃取引をしている銀行はじめ金融機関を企業へのアドバイザー役やプレーンとして相談に乗ってもらうとよい。
緊急保証制度を利用するには、信用保証協会の保証を取り付けることが不可欠である。
そのための第1段階としてまず最寄りの市区町村役場に出かけ、商工観光課に赴き、認定に必要な申請書類の説明を受ける。
申請に必要な提出資料は次の通りである。
直近の決算書(法人)・確定申告書(個人事業者)、申請書、実印(法人の場合代表者印)、申請内容確認書、商業登記簿謄本(法人のみ)、最近3カ月間及び前年同期3カ月間の売上高の月別内訳が確認できる書類(試算表・帳簿等)こうした書類は、日頃からきちんとした経理処理をしている企業では数時間で資料が作成できるが、経理処理を税理士などに任せている企業は税理士事務所に書類作成を依頼する方が手っ取り早い。
ただ、改めて自分の企業を見直そうと考えたならば、日頃不慣れな業務とはいえ、自ら申請書などを作成するのもよい機会であろう。
特に今回の不況対策による緊急保証制度の狙いは、金融危機に伴う不況による売上減をどう説明するかである。
申込み時における最近3カ月の月平均売上高とその期間に対応する前年の3カ月の月平均売上高とを比較して、その減少率を算出するだけのごく簡単なものである。
これらの事項を申請書に記入して提出すれば、ほどなく役所の商工観光課などから認定書がもらえ、それを信用保証協会に提出すれば保証が決まり、その後取引金融機関経由で資金が中小企業の口座に振り込まれる仕組みである。
問題は、せっかくの政府の不況対策であるこうした緊急保証制度があるのを全く知らず、また関心がなくいたずらに不況風を嘆き、その対策を打たない企業の場合である。
中小企業、零細企業の特色は、本来旺盛なる企業精神であり、事業欲であるはずだ。
確かによる売上の大幅減は企業の屋台骨を大きく揺るがしたが、これに対応するにはもう一度企業の創業期の原点を思い出すことであろう。
そして苦手分野である経理・財務、特に資金繰り対策に力を入れるべきである。
社長自ら役所や銀行の窓口を訪れるスピードとフットワークが大事だ。
そして仮にも窮地に陥った場合は、友人をはじめとするプレーンに相談するとともに、近くの商工会議所や商工会に金融相談に出かけることも忘れてはならない。
「窮すれば通ず」窮すればまず知恵を働かせて素早く行動することが大事だろう。
こうした特色は中小企業にとって大事な経営の資源なのだ。
これをタイミングよく発揮してこそ前途が開けるであろう。
大企業の場合、資金調達の一つの方法として不特定多数を対象にしての公募による社債の発行がある。
一方中小企業の場合は私募債を発行して資金を調達する方法があるがこの場合その引き受け手は少数の特定先である。
いずれも銀行借入等の間接金融と異なり、直接市場などから資金を調達するため直接金融ともいわれる。
中小企業において行われている私募債の形態は次のように4種類ある。
第1は、銀行と保証協会の保証を利用する形態で信用保証協会付私募債といわれている。
第2は、銀行の保証を利用するもので銀行保証付私募債である。
第3は、社債自体に不動産などを担保物件として設定して発行される担保付私募債である。
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